1987年

BOOWY PSYCHOPATH (バンドスコア)より

全国のアマチュア・ミュージシャンの皆さん、こんにちは! ギターの布袋寅泰です。 

今回は新作『PYCHOPATH』を中心に、ギター、ベース、ドラム、アレンジやメロディ ーのとらえ方などを、お役に立つかどうかは おいといて色々書いてみたいと思います。 

 自分で言うのも変だけど、BOØWYという バンドは本当にお手本の様なバンドだと思い ます。

リズム体はシンプルでビートを中心に ドシッとしてるし、ギターは本来ギターの持 つ魅力(フリーでコードワークを中心にあば れてる)を十分表現できてると思うし、

ヴォ ーカルはその上でのびのびシャウトしている 

すなわち、全員が主役なわけです。 しかも演ってて気持ちいい。しかめっ面しな いで楽しめる。バンドとしての理想形に限り なく近いのがBOØWY というバンドです。

この形にたどりつけたのも、僕をアレンジャー、 サウンドプロデューサーとして認めてくれた メンバーのおかげです。

と言うと僕のエゴを 中心に作られてると思われがちだけど、とんでもない! 音楽を作る上での信頼感は一番 大切な物ですし、

昨日今日で得られる物でも ない。他のメンバーが音の部分で僕を信頼し てくれるという事はとても素敵な事であると 同事に、僕の中でも一番大切な宝物的なものなのです。 

誰もが皆、自分の感性(最も小さく、最も 大きい)という枠の中で自分の音楽を持っています。

多くは好き嫌いでしかないのかも知 れないけど......。どんなに仲の良い親友でも、 演りたい事は一緒とは限らないわけで。バンドってやつは少人数なだけになにかとぶつかりがちだよね。

でも、いくら自分の主義主張 したって、そのバンドがいかにバンドらしいかという所が大切です。

チョッパーが苦手 ベースにそれを望むのは間違っているし、 速弾きできないギタリストにイングウェイみたいに弾いてくれというのも違う。

大切なのはそのミュージシャンの良い所を引き出す事なのです。

(もちろん、俺はこれしか出来ね えんだと開き直る事はもっと良くないと思う。)

そこで大切になってくるのがソングライティグであったり、アレンジだったりするわけ です。 

アレンジというやつは、シンプルならシン プルな方がカッコイイ。

ゴチャゴチャ、どうだ! プロはすげーだろー! お前にこれがわるか!みたいなのって、

いい大人が子 供に腕自慢をしてるみたいでトロイよね。

実 際、ロック好きの奴って「あの曲のイントロ のギターのリフがたまらない!」とか「2番 に行く前のブレイクが最高!」っていうノリ じゃない?

テクニック至上主夢なんかクソ くらえ.! って大声で言っちゃうもんね。とは言え、シンプルなアレンジってやつが一番 難かしいってのがつらい所なわけです。 

曲作りでポイントになってくるのがリフ作り。1曲目のライアー・ガールにしろ、ジゴロ&ジゴレット、ランデヴー、マリオネット、季節が君だけを変える...などはリフからで きた曲と言えます。

ギターを持って何気なく 弾いていて、気に入ったものをテレコに録音しておくのが良いと思います。

よし! 曲作 るゾ! とか力んでイントロからエンディン グまで一気に作ろうとすると大変。

少しずつ 自分の気に入った部分を合わせて、はめ絵の 様に作っていくと色々な表情が出てくると思い ます。

逆にメロディーを先行して作ったのが、 LONGER THAN ~だったり、MEMORY だったりするのって何となくうなずけるでしょう?

シンプルって言葉を使った様に、この PSYCHOPATH」もこれといって大げさな プレイはありません。ギターソロにしても極めて単純なものがほとんど。

とは言っても メロディアスで一度聴いたら忘れられない様な物を創り出すのは至難の技なわけです。

ライアー・ガールやLONGER THAN~、季節が君だけを変える......などのソロから HOTEI 流リズム、メロディーのエッセンスを盗んで 下さい。 

僕はスタジオ・ミュージシャンとしても仕 事をしてきました。全てがそうだったという 気はありませんが、

よく アンディ・テイラ ーみたいにとかスティーヴ・スティーヴンスやエッジ、ナイル・ロジャース風に弾 れと言われた事があります。

そのたびに僕は 首をかしげてきました。初めに言った様に、大切なのは個性です。他人の真似してお金を貰うのなんてまっぴら。

しかし、自分のスタ イルを認めてもらえない、限りそんな事言ったって強がってる様にしか見えないもんね。

そこは気をくいしばって頑張るしかない。自分のオリジナリティー!それが全てです。 

今、ツアーのまっ最中。観てくれた人は知てると思うけど、新作を中心に重いビートに重点を置いたものです。

バンドにとってステージはかけがえのない場所です。

レコーデ イングして、それをみんなに聴いてもらう事から始まるわけだけど、それらの曲を自分達のものにできるのはツアーの後半になってからです。

その時その時の気持ちで何十回もプレイして、やっとその曲が体の中に入ってくる感じ。目を閉じてでも弾ける様になる。

その時初めて客席の人達の顔が見えてくるんだ。 と、この例ひとつひとつとってもプレイして いる限り、何かと時間のかかるものです。

曲とプレイと聴き手の三角関係は永遠に続くんです。どれかひとつバランスが悪くなると、 その曲は死んでしまう。

心を込めて弾いているわけではないけど気合いはいつも入ってる。

マコッちゃんにしても、演奏前に飲んだウー ロン茶をアンコール前には吐いちゃうくらい疲れるんだゼ。 

とまぁ、予想通りとりとめのない事を書い てしまいましたが、このアルバムを作った時 のコンセプトとして、流れるビートっていうのと、何度も何度も聴くと味が出てくる物を作るって事を頭に入れて演りました。ライア ー・ガールから季節が君だけを変えるま で、本当にかわいい僕らの子供達を末長くか わいがってあげて下さい。 

いつかどこかで一緒にプレイ出来る事を夢みて。 Tomoyasu Hotei

-1987年

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